Larix decidua Mill. ヨーロッパカラマツ

学名:Larix decidua Mill.

樹皮を突き刺して得られるバルサム(カラマツ・ターペンタイン)。
カラマツ(主にL. occidentalis)の様々な種から得られるアラビノガラクタンも使用される。

主な成分
バルサム:エッセンシャルオイル(20%)、主成分はα-ピネン。樹脂:α-ラリシン酸とβ-ラリシン酸。
アラビノガラクタンは、ガラクトースとアラビノース鎖が6:1の割合で結合した多糖類で、少量のグルクロン酸を含む。

薬理作用
エッセンシャルオイルを含むバルサムには、消毒作用と防腐作用がある。
アラビノガラクタン: 免疫賦活剤、繊維源、腸内細菌叢による発酵により短鎖脂肪酸(主に酪酸)の生産を増加させる。

細胞や動物モデルにおいて、アレルボガラクタンはナチュラルキラー細胞やマクロファージを活性化し、炎症性サイトカインの分泌を促進することが示されている。ヒトでは、肺炎球菌や破傷風のワクチン接種に対する血清抗原特異的IgGおよびIgE反応の増強が報告されており、B細胞依存的な機序が示唆されている一方、ワクチン接種後に反応がないことから、T細胞依存的な機序の関与が示唆されている。著者らは、カラマツアラビノガラクタンが微生物叢依存的なメカニズムを通じて間接的に作用する可能性や、腸関連リンパ組織(GALT)を介して免疫系に直接作用する可能性など、さまざまな仮説を提示している。

効能/推奨
バルサム(外用薬)として欧州委員会(Commission E)より承認:呼吸器疾患、リウマチ性疾患、神経痛、腫れ物。
アラビノガラクタン:インフルエンザ、風邪、再発性耳炎の予防。動物実験の結果、創傷や角膜潰瘍の治療に有用であることが示唆された。

臨床研究では、カラマツのアラビノガラクタンは非特異的防御力を高め、風邪の発症率を23%減少させた。

用法・用量
バルサム、外用:10~20%のバルサムを含む固形または半固形の製剤(ゲル、リニメント、軟膏、オレイン酸塩)。
アラビノガラクタン:1日4~15gをシロップや粉末にして、水やジュースに混ぜたり、食品に加える。

禁忌
バーム:精油に対する過敏症。

副作用
報告なし。

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